カナダツアーレポート:関口和希

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関口和希

2025年9月、第一期公募枠の採択者3名(金子勲矩、関口和希、ひらのりょう)が新作のプレゼンテーションを主な目的として、カナダツアーを行いました。この記事では、関口和希によるレポート記事をお届けします。


関口和希によるレポート

こんにちは。関口和希です。
カナダのオタワとモントリオールにNeWNeWのツアーで行ってきたので、レポートします!
私にとっては初めてのカナダで、いろいろな経験ができました。プレゼンもしっかり頑張ってきました。写真いっぱいで振り返っていきますので、長いですがぜひ最後までお楽しみください。

1日目(9月23日)

18時の飛行機で羽田を出発。トロント経由でオタワへ向かいます。
ややナーバスな気持ちだったものの、家族と別れ、空港に近づくにつれてだんだん気持ちが前向きに切り替わっていきました。

しかし、機内で隣のカップルと揉めました…。気まずい状態のまま約14時間のフライトに耐え、1時間ぐらいしか眠れず、そして後ろが壁だったのでずっと直角の姿勢でいなくてはならず、しんどい滑り出しでした。

そんなこともありつつ、交通的には大きなトラブルもなく、21時頃にはオタワのホテル(Sonder Rideau Apartment Downtown)に着きました。鍵がパスワード式だったりとおしゃれでハイテクなホテルでした。
この日は機内食の残りを食べ、早々に就寝。

2日目(9月24日)

近くの公園で休んでいるガチョウを横目に、朝11時にArts Coartに集合。映画祭のパスを受け取りました。

黄色がかわいい映画祭バッグです。パンフレットは有料でしたが、買えばよかったと思いました。

Arts Coart Studioに展示されていたアニメーションの原画がなんともいえない表情で良かったです。
そのあと少し時間が空いたので、一人でホテル近くのスーパーへ。昨夜、歯ブラシを折ってしまったので調達しに行きました。

レジでもたついてしまった時に店員さんにため息をつかれ、精神にちょっとダメージを負いました。お店によってタッチ決済が使えない、このブランドのカードが使えない、などがあり、支払いの時はいつも少し緊張感がありました。

そのあと開会式の会場(Bytowne Cinema)に行く途中、ホームレスにFワードを言われながら少し付いてこられ、すっかりひるんでしまいました。

※今回のツアーでは、最初の方にこうした個人的なネガティブイベントが続きましたが、後半に行くにつれてどんどん楽しくなっていくのでご安心ください。

夕方から長編『Death Does Not Exist』を鑑賞。そのまま開会式と短編コンペ1を観ました。

短編コンペ1では、個人的には「そこまでの笑いじゃない」と感じるような場面でも地鳴りのような大爆笑が起こっており、日本とカナダの笑いの沸点の違いを感じました。

21時からは近くのレストランでFelix Dufour-Lapperiereさんとの夕食会兼インタビューが行われました。

もう少し積極的に話せたらよかったと反省しているのですが、すごく紳士的に接していただき、ここまで個人的に殺伐とした出来事が多かったので浄化される気持ちになりました。

『Death Does Not Exist』で、キャラクターが一色で塗られているのは何故ですか?と質問しました。(その答えは、きっとインタビューの別記事が出るはずなのでぜひチェックしてみてください。)

3日目(9月25日)

序盤は初めてのカナダになかなか慣れず、治安もあまり良い感じではなかったので、ひたすら怯えていました…。しかし、まずは食を確保すべく、オタワの大型のショッピングモールへ食材の買い出しに行きました。

映画祭やプログラムと全く関係ないところで、地味に心が折れる出来事が続きます…。

4日目(9月26日)

11時からBytowne Cinemaでコンペ4を鑑賞。そのあと、12時半からStrathcona Parkという大きな公園でAnimators’ Picnicが行われました。

シャトルバスに乗り込み、出発。車窓から見える紅葉が美しく、いい季節に来たなぁと感じました。公園に到着すると、こんなかわいいチケットを手渡されました。

このチケットをお昼ごはん(サンドイッチ、ドーナツ、飲み物)と交換し、食べながらしばらく交流しました。飛行機でのトラブルなどの苦労話を他の作家さんと話せて、少し気が楽になりました。

そのあと、ハロウィン感満載のカボチャ大会に参加しました。どれが一番いいカボチャかをNeWNeWの作家6人が審査員になって決めました。

カボチャ大会が終わるとArts Coartに戻り、ピクニックで知り合った日本人の女の子とOttawa Art GalleryでVR作品の『Gymnasia』を観ました。
ホラー味のある作品で、急に何かが飛び出してくるような演出があったらどうしようと少し身構えながら観たものの、そういったことはなく、静かに作品の世界に没頭できて面白かったです。

そのあと、Alma Duncan Salonという会場でNeWNeWの上映に立ち会いました。上映前に6名の作家全員が前に出て紹介してもらった後、上映が始まりました。

『死ぬほどつまらない映画』が大ウケし、ものすごく嬉しかったです!
あんなに大きな笑いに包まれたことはないというぐらいで、最高に満たされた気持ちになり、全てのイヤなことを忘れました。

5日目(9月27日)

昼間にようやく両替しに行き、現金を得ました。そのあと、冷蔵庫の余りそうな食材を煮込むためにコンソメが必要になり、スーパーへ。

道を間違えたらなんだか不穏な雰囲気の路地に出てしまい、早足で戻りました。

街中のいたるところに映画祭のポスターが貼られていました。

夜にBabs Asper Theatreという会場で授賞式が行われました。クリスさんの軽妙なトークで会場は笑いが絶えませんでした。

折笠さんがBest Narrative Shortを受賞されていました!!

6日目(9月28日)

この日はNeW NeWのトークイベント「OIAF Indie Talks」が行われました。
10時にテクニカルチェックで流れを確認したあと、11時半からいよいよイベントスタート!

一人ずつ前に出て、ソファに座った状態でプレゼンしていきます。最初に自分について話し、そのあと新作について短くプレゼンしました。

本番中、カンペを表示したスマホ・リモコン・マイク・PowerPointの入ったPCを前に、2本しかない腕でどれを操作するか迷いましたが、マイクとPCでプレゼンしました。

開会式の日に肌で感じた通り、カナダのお客さんはすごく笑ってくれるので、こちらが発信する側のときはこんなにありがたいことはありません。
意図した笑いどころに細かく反応して笑ってもらえて、とても温かい雰囲気の中でリラックスして話すことができました。

イベント終了後、観ていた人が「正直なのがとてもいい、作ってくれてありがとう。」という感じのことを言ってくれて嬉しかったです。明日からモントリオールに行く、と言ったらおすすめのベーグル屋さんも教えてもらえました。

そのあとはしばらく空き時間だったので、一人でキレイな景色を眺めたり、

美術館(National Gallery Of Canada)に行ったりしました。

閉館間際だったので急ぎ足でしたが、2階は現代美術、3階は昔の有名作品、という感じで見応えがありました。
いつもずっと子ども中心のペースで生活しているので、久しぶりに一人で気ままに歩いたり、考えごとをしたりできてとても幸せでした。

17時からは全員で夕食会。
タコスを食べながら、いろいろな話ができて楽しかったです。

そのあと、Arts Court Studioで行われていたクロージングナイトパーティーへ。
最終日だからかチルな雰囲気で良かったです。

ホテルに戻る途中で見た夜景がとてもキレイで、前半はいろいろあったものの「終わりよければ全て良し」な心境になりました。

7日目(9月29日)

ホテルをチェックアウトし、10時の列車でモントリオールへ。
モントリオール駅に着いたあとはNFBまで歩いて移動しました。重いスーツケースが石畳の凸凹に引っかかり、体力を削られます…。

NFBに到着。かの有名なロゴ!

『Bread Will Walk』のプレゼン。

大きな撮影台。この他にも所属されている作家さんの個人ブースを順々に見学させてもらえたのがとても参考になりました。

見学を終え、ホテルに移動。ロビーでサイレンがけたたましく鳴り響いていました。
全員外に出るよう指示され、すぐに消防車が来ましたが、特に何もなく走り去っていきました。本当の火事じゃなくてよかった…。

気を取り直してホテルにチェックイン。少し休んだあと、夜はみんなでレストランへ。名物のプーティンを食べました。

プーティンは一口サイズの柔らかい唐揚げとチーズがボウルにいっぱい入ってる感じの料理で、しょっぱくておいしかったです。
夜にホテルのお風呂に入ろうとしたら、ほんのり温もりを感じる程度の水しか出ず、あきらめて就寝。滞在中ずっと風呂なし or 水風呂を覚悟しましたが、朝にはお湯が出るようになっていて良かったです。

8日目(9月30日)

朝10時からEmbuscade Filmsのスタジオ見学へ。コマ撮りの設備やTVPaintでの作画の様子などを見せていただきました。制作管理ツールの『Kitsu』を紹介してもらったりも。

あまりの環境の良さに、NFB見学でも感じたことを再び思いました。

そのあとは本屋さんなどに寄り道しつつ、トークイベントのテクニカルチェックのため、会場のシネマテークへ。

テクニカルチェック後はシネマテークのライブラリーを案内していただき、貴重な資料をたくさん見せていただきました。

厳重に保管されていたウィンザー・マッケイのノート。

ノーマン・マクラレンの原画。

他にも川本喜八郎の人形や絵コンテだったり、蔵書などの膨大なアーカイブを説明とともに見せていただきました。

そのあとホテルに戻って2時間ほど寝て、19時からNeW NeWのイベント本番に臨みました。オタワの時より長めの持ち時間で、一人ずつプレゼンを行いました。

今回はソファではなくて演説台の前に立って話したので、オタワの本番より緊張度は上だったと感じました。終わったあと、他の作家さんが「よかったよ!」と言ってくれましたが、話している最中は自分の持ち時間が永遠に続くような気がしました…。
でも、要所要所で笑いが起きてよかったです!

プレゼン終了後、質疑応答のランダムな質問に自分の言葉で答えられた時に、少し英語の成長を感じました。

終わったあとはパーティーで交流。

二次会で行ったパブではおしゃれなお酒を飲みました。

一冊のノートを作家さんたちみんなで回して絵を描きました。日付がパッと出てこなくて勘で「10月1日」と書いたら、そのときにちょうど日付が変わったので「一番乗りだね!」と言われました。

1時半頃にホテルに帰還。朝から予定が詰まっていてハードな一日でしたが、意外にもそこまで疲れは感じず、多幸感に包まれて就寝しました。

9日目(10月1日)

11時半からE.D. Filmsのスタジオ見学へ。

雑貨屋さんのようなスタジオ外観。

壁一面に日本の漫画の切り抜きが貼ってありました。

スタンディングで作業されていました。置かれている小物やインテリアにこだわりを感じます。

E.D. FilmsのダニエルさんからBlenderとPhotoshopの連携についての技術的なお話を聞きました。

途中、端から一人ずつ順々に質問をされる時があったのですが、その時に少し助けてもらいながらも自分の言葉で答えられて、英語の成長を感じました。

見学の後は、Fantasia International Film Festivalのルパートさんとお打ち合わせ。ランチをご一緒しました。その後、アートブックや漫画、おもしろいZINEなどが置いてある本屋さんに連れて行っていただきました。

すごくいい感じのお店で、近くにあったら通いたくなる感じでした!

モントリオールの風景のポストカードやZINEをゲット。

そして17時からはNFBのイェレナさんと夕食をご一緒しました。

イェレナさんは噛みしめるようにゆっくりと話してくださるので、リスニングの弱い私でも聞き取りやすかったです。プレゼンのフィードバックもいただきつつ、惑星規模の熱い会話が行われ、楽しい夜でした。

日本風味の内装が面白いレストランでした。

「ONSEN(温泉)」という名のノンアルコールカクテル。名前を裏切るようなグロめのビジュアルながら、トロピカルなお味でした。

帰りにスーパーでお土産の購入も完了!
カナダに来る前は「カナダ=メープルシロップ」のイメージでしたが、本当にとにかくメープルシロップという感じでした。

10日目(10月2日)

長いようであっという間だった全ての行程を終え、日本に帰ります。

最後の自炊。オタワで買い込んだ食材をほとんどロスなく使い切れました。
今回元気に過ごせたのは、ホテルのキッチンで自炊して、毎日お腹いっぱい食べられたおかげだと思います。
このパスタソースがおいしかったので買ってよかったです。

ホテルの部屋に別れを告げます。

離陸!

まとめ

NeW NeW最後の全員での海外ツアーが終わってしまい、記録を振り返りながら「楽しかったな〜」という気持ちと一抹の寂しさとともに記事を書いています。
今回のカナダツアーは個人的にはちょっと不安な滑り出しだったのですが、終わってみれば良い思い出ばかりで、前回に引き続きとても貴重な経験になりました。

具体的には、カナダの観客のリアクションを直接浴びられて、自分の作品の方向性が見えてきたこと。プレゼンの場数を重ね、だんだん緊張にも慣れてきたこと。そして、英語での成長を少し感じられたことが特によかったです。

短編アニメーション制作を続けることは大変ですが、今回出会えたような素敵な方々がいる世界の一端に自分も身を置いているのだと考えると、大きな希望を感じました。

この経験を胸に、よりいっそう新作の制作を頑張りたいなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!

最後に、海外であってよかったものをシェアします。(現地調達含む)


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