第一期最終レポート:関口和希

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関口和希

2025年11月末にて、第一期の活動期間が終了いたしました。この記事では、第一期公募枠の採択者の一人である、関口和希による活動の最終レポート記事をお届けします。


関口和希によるレポート

こんにちは、関口和希です。
NeWNeWプログラムの一期生として、10ヶ月間にわたり様々な経験をさせていただきました。

新作短編アニメーションの『アニメーション作家のねこちゃん』の制作と、10ヶ月の充実した日々を振り返ります。

脚本の改稿

応募時は企画書、絵コンテ、Vコンテまで進んでいました。初期案の尺は15分ほどありましたが、アドバイザー陣からの「長すぎる」というアドバイスを受けて、まずは脚本の改稿を進めていきました。
プロデューサーの土居さんから「ちゃんとした脚本のフォーマットで書きましょう」と方針が示されたのを機に、Wordで柱書きなどのルールに則って書く習慣がつきました。

新潟ツアー

3月には新潟国際アニメーション映画祭に参加しました。
当初はプログラムの目的として示されていた『ネットワーキング』にプレッシャーを感じ、英語への不安から海外作家との交流にも腰が引けていましたが、頑張りました。

新潟国際アニメーション映画祭レポート:関口和希 | 活動報告 | New Way, New World: Program for Connecting Japanese Animators to the World.

ヨーロッパツアー

5月から6月はプログラムの山場であるヨーロッパツアーに向け、ビジュアル資料作成、企画書とピッチ原稿作成、テストアニメーション制作、そしてVコン制作….と、目が回るほど忙しい時期でした。脚本は7稿まで進み、15分から12分へと凝縮。英訳し、ハリウッド式のフォーマットに整えました。

テストアニメーションのスクリーンショット。

ピッチに向けて企画書とピッチ原稿の内容をAIの力を借りて何度もブラッシュアップし、情報密度とわかりやすさを磨きました。

準備を整えていざ現地へ。

ザグレブでの初ピッチでは笑いがほとんど起きず、無笑の数分間となってしまいました…。緊張で原稿を読むことに集中しすぎたことと、口に出す練習不足が原因だと反省しました。

アヌシーに向けて、現地のコーディネーターの方の協力で原稿をまるごと書き直しました。その際に、ピッチでは情報を過不足なく伝えることよりも笑いが重要だと学びました。

アヌシーでのピッチ。

まさか現地で原稿を全て書き直すことになるとは思いませんでしたが、笑いどころをわかりやすく作ると敏感に反応して笑ってもらえ、それで自分もリラックスできるとわかったことは大きな収穫でした。
アヌシーの会場の芝生で全員でピッチ練習をしたのも良い思い出です。

ツアー用に作成した売り込み用ポストカードは、英語に不安がある中でのコミュニケーションを大いに助けてくれました。会場に置いておいたら、持って帰ってくれた人から連絡が来るなどの効果もありました。

欧州ツアーレポート:関口和希 | 活動報告 | New Way, New World: Program for Connecting Japanese Animators to the World.

帰国後、脚本は9稿に達しましたが、育児がハードになってきたこともあって制作に集中しきれない時期が続きました。一時的に燃え尽きていたのかもしれません。

カナダツアー

個人的に停滞していた時期でしたが、オタワでの上映とプレゼンでは現地の観客に今までにないぐらい爆笑してもらえたことが大きな自信になり、活力を取り戻すことができました。

カナダツアーレポート:関口和希 | 活動報告 | New Way, New World: Program for Connecting Japanese Animators to the World.

帰国後、脚本は一段落したので(少し飽きてきたのもあり)コンテ作業に移行しました。

「もっと身体を使って描いている感じが欲しい」と思い立ち、描いたコンテを切り抜いて壁に貼る習慣が生まれました。夜明け前に起きて紙を切り貼りしている時間にはヒーリング効果がありました。そして、全体を一望できるこのやり方でストーリーを把握しやすくなりました。

その後、10月には中国・杭州の西湖国際アニメーション映画祭、11月の新千歳空港国際アニメーション映画祭への参加をもって、NeWNeW卒業となりました。

西湖国際アニメーション映画祭 – ぴこぽん|Kazuki Sekiguchi

第12回新千歳空港国際アニメーション映画祭 – ぴこぽん|Kazuki Sekiguchi

現在

現在は助成金獲得を目指して、その準備の一つとして1分ほどのパイロットフィルムを作っています。
普段は一人で作るのですが、今回は新しい試みとして株式会社MIRAI FILMの皆さんに協力していただき、あまり経験のないスタッフワークに挑戦しているところです。

これはスタッフの皆さんに渡しているキャラクター表の一部です。現在こつこつと作画を進めており、最終的には以下のようなルックになる予定です。

また、もう一つの新しい試みとして、劇団の俳優さんを声優として起用し、都内スタジオでセリフ収録を行いました。納得いくまでリテイクをしていただき、とてもいい演技が録れましたし、演じていただく中で「このキャラクターってこんな人なんだ」と逆にこちらが発見するような感じもありました。

音楽は過去作品でも何度もお世話になっているMarty Hicksさんにお願いしています!

人を巻き込んで制作することはプレッシャーがありますが、それがやりたくてプログラムに応募したので、ずっとやりたかったことができている喜びがあります。また、締め切りがないと作品は完成しないと考えているので、大変ですが必要なことをしている実感があります。

まとめ

こうした長期プログラムに参加することが初めてで、私にとっては金銭的・時間的に大きな挑戦でした。特に子育て中ということもあり、最大3週間家を空けることを巡って夫と何度も衝突しました。

子供が保育園に通い始めたばかりで、ツアー直前に感染症にかかるなどの苦労もありましたが、それに見合う価値がこのプログラムには本当にあったと思います。スクラップアンドビルドという感じで、結果的に家族の絆も深まったように感じており、サポートしてくれた夫と両親に感謝しています。

アニメーション制作は孤独な作業でもありますが、今回のプログラムで国内外の素敵な人たちと出会い、制作を続ける限り繋がっていられると実感できたことが大きなモチベーションになりました。

また、海外ツアー後の時差ボケを利用し、早朝に作業することの素晴らしさがわかったのはちょっとした副産物的な収穫でした。

育成期間は終わりましたが、制作はまだまだ続きます。たまにSNSやブログで制作の様子をアップしますので、お気が向いたらご覧いただけたら幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。


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