ルース・グロージャンの日本滞在記 Part 2
- 文
- ルース・グロージャン
- 翻訳
- ニューディアー
2026年4月、NeW NeWのアドバイザーとして来日したルース・グロージャン(Miyu Distributuion代表)は、2週間日本に滞在し、短編アニメーションにまつわる様々な場所を巡り、アーティストたちと対話しました。彼女が自身のInstagramにアップした日本滞在記を邦訳し、記事化しました。今回はそのパート2。オリジナルのポストはこちらから読めます。

知っておくべきアーティスト・イン・レジデンス
横浜では「黄金町エリアマネジメントセンター(黄金町AIR)」を訪れた。高架下や小さく改修された店舗の中に佇むユニークなレジデンスで、かつて歓楽街であったこの地域は、2009年以降アートを通じて完全に生まれ変わった。
あらゆる分野や国籍から集まった約50名のアーティストが同時に活動している。月額費用はスタジオ代と住居費込みで約300ユーロ(約5万円前後)であり、日本で最も手頃な選択肢の一つとなっている。滞在期間は3ヶ月または1年で、通年で募集が行われている。
このレジデンスを特別なものにしているのは、機関の中に孤立するのではなく、リアルな地域社会に溶け込んでいる感覚である。アーティストたちは目と鼻の先に地域コミュニティを感じながら、隣り合って暮らし、作品を制作している。
副島しのぶもここにスタジオを構えており、彼女のプロデューサーであるサイジュンも働いている。


YUKI-SIS Gallery
日本橋にある「YUKI-SIS」を訪れた。寺嶋由起がオーナーを務める素晴らしいギャラリーである。彼女はとある展覧会で榊原澄人の作品と出会い、その魅力に惚れ込んで彼のギャラリストとなった。実際に作品を目にすれば、誰もが深く納得する素晴らしい出会いだったとわかるだろう。


日本のアニメーション学校:私が学んだこと
1週間で4つの学校を訪問した。
いくつかの基本的な情報を挙げておく。
・学期は4月から1月まで、卒業作品展は3月に行われる
・学費は年間5,000〜12,000ユーロ(約80万〜200万円程度)
日本語の習得が必須。留学生の多くは中国出身である。

多摩美術大学
おそらく世界で最も美しいキャンパスであり、図書館は、私がこれまでに見た中で間違いなく最も素晴らしいものの一つである。デザイン教育を主軸としており、学生は専攻の過程でアニメーションを専門に学ぶことができる。
冠木佐和子、ニヘイサリナ、久野遥子など、驚くべき才能たちがここから羽ばたいていった。
アニメーション専攻の責任者を務めるのは、有名なTVシリーズの監督であり、新千歳空港国際アニメーション映画祭の実行委員でもある野村辰寿である。


東京造形大学
東京の喧噪から遠く離れた深い森の中に位置し、キャンパス内には野生のサルも姿を見せる。到着した瞬間からその環境を肌で感じることができる。
キャンパスには穏やかで集中的、どこか秘密めいた非常に独特なエネルギーが満ちている。訪問時には、学生への情熱がひと目で伝わってくる、若見ありさ准教授にあたたかく迎え入れられた。
一緒に卒業制作の作品を鑑賞したが、そのレベルの高さには目を見張るものがあった。今回の旅全体を通しても、最も自信に満ち、個性的で洗練された作品群であった。


東京藝術大学
横浜の港の近くに位置し、水辺を見渡す美しい眺望を誇る。日本で最も古い公立の芸術専門の学校であり、その歴史は作品の真摯さや学生たちの志の高さに色濃く表れている。
アニメーション専攻を率いるのは、インディペンデント・アニメーション界の中心人物であり、ひろしまアニメーションシーズンのアーティスティック・ディレクターも務める山村浩二である。
また、本校は大学院として研究の機会も提供しており、学生たちが雄大なプロジェクトをじっくり展開できる環境を整えている。矢野ほなみや折笠良もここで学んでおり、それだけでもこの学校のレベルの高さが伺える。


武蔵野美術大学
その精神において、おそらくフランスの「ル・フレノワ国立現代芸術スタジオ」に最も近い存在である。アニメーションは数ある芸術的表現手法の一つとして扱われており、アニメーション自体に完結するものではない。その自由さが作品にも表れている。
実験映画・実写分野のアーティストである小口詩子に迎えられたことからも、この学校がいかに領域横断的であるかが分かる。観賞した卒業制作群は今回の旅の中で最もハイブリッドなものであり、アニメーションと実写、ドキュメンタリーの手法が非常に自然かつ個人的な形で融合されていた。
「どうアニメーションを作るか」ではなく、「何を出したい・語りたいか」が問われる学校である。


日本での出会いをフランスへ持ち帰って…
ご存知の方もいるかもしれないが、今年(2026年)のカンヌ国際映画祭において日本は名誉国(カントリー・オブ・オナー)となっており、監督・矢野ほなみ、監督作品『Eri』が監督週間(Quinzaine des Cinéastes)に選出されたことを、私たちは非常に嬉しく思っている。本作は山村浩二率いるAu PraxinoscopeとMiyu Productionsの共同製作である。
彼女の前作『骨嚙み』も映画祭で大ヒットを記録したため、この美しい新作の続報にもぜひご期待いただきたい!

